2014年8月26日火曜日

狼狽ゆえのリベラル__朝日新聞の言説の崩落

朝日新聞が30年以上維持してきた従軍慰安婦に関する報道姿勢を変更した。
暴力的に慰安婦狩りをした、という吉田清治の”自白”が虚偽だったと認めた。
要するに、吉田清治という男は日本のリベラル層に対する、嘘の自白ネタでの講演、出版ビジネスをしていたわけである。

朝日新聞への非難は強い。 『WiLL』編集長、花田紀凱などは次のように断罪する。
  吉田証言。こんなものは吉田の本が韓国で出版されるとすぐ、済州新聞の記者が地元で取材し、吉田の嘘を明らかに  している。朝日の記者よりよっぽど立派だ。
  慰安婦研究の第一人者ともいうべき、秦郁彦さんも自ら済州島に行って徹底取材し、吉田の嘘を立証している。
  本来なら朝日、この時点でちゃんと取材すべきだったのだ。
  ・・・・ 朝日の一連の慰安婦報道が、河野談話につながり、慰安婦像設置、性奴隷にまでつながるのだから、朝日の罪は重い。・・・・・・
  http://www.asyura2.com/14/senkyo169/msg/643.html

そして朝日新聞社内にも検証チームがあってずいぶん前から判っていたらしい。

リベラルであることが善であるという感覚は戦後日本の言論界の主流であり、その悪弊のひとつが自虐史観といわれるものだ。
嘘の自白であっても、軍国主義を批判するのであれば是とするという精神がどこかにあったのだろう。
韓国がなぜ反日なのかという問題を深く解明することもせず、とりあえず過去の日本軍を貶めておけばOKとばかりに反射的にリベラルサイドに立つ。全く周りが見えていない、このような思考、性向をどう評すればよいのだろう。
私はこれは一種の狼狽ではないかと思う。
狼狽する日本人。 このような局面は歴史認識の領域にかぎらず、いたるところにある。過去にも、現在にも、そして未来にも。(まあ、日本人にかぎったものでもないだろうが)

しかしこれでは、いけない。発想をかえ、視野を異次元に広げて、現象の底にひそむ本質を捕まえよう。

「産経新聞が虚偽の記事を書いた」という韓国の報道が虚偽なのではないか


韓国のマスメディア(など)がニュースの中で一斉に”虚偽報道”と騒ぎ立てている

「産経新聞が・・・・朴槿恵大統領に関する虚偽の記事を書いた事件」
  (朝鮮日報 2014/08/26)

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/26/2014082600616.html

産経新聞の韓国冒涜は度を越えた 
 同紙は3日、「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という題名の電子版の記事で、朴大統領がセウォル号沈没事故発生当日、ある男性と密かに会い、その男性は朴大統領の補佐官で最近離婚したチョン・ユンフェ氏だったと報じた。
  (東亜日報  2014/ 08/11)
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014081155588

検察が産経新聞の加藤達也ソウル支局長(48)を刑法上の名誉毀損容疑で起訴する方針を決めた。旅客船セウォル号沈没事故当日の今年4月16日、朴槿恵(パク・クネ)大統領が“秘線”に接触したという疑惑が事実ではないことが明らかになったという判断からだ。
  (中央日報 2014/08/26 )
http://japanese.joins.com/article/288/189288.html?servcode=A00&sectcode=A10&cloc=jp|main|top_news


などと報じているが、虚偽にあたる部分はない。
産経の記事は7月18日の朝鮮日報の「大統領をめぐるウワサ」という記者コラムその他を紹介して最後に「朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ」と批評しているだけだと考える。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140803/kor14080312000001-n7.htm

たとえ朝鮮日報の記者コラムの内容が虚偽だったとしても、"このような朝鮮日報の記事がある。"という産経の記事自体は全くの事実である。
真実を書いていても産経の記事は名誉毀損に該当する、と主張するつもりなのだろうか?
そうであるならば弾圧される対象は元の朝鮮日報の記者であるはずだが・・・・。

"産経の記事は本当に朝鮮日報の記者コラムを紹介しているだけなのか?"という疑問をもつ人のために改めて確認する。
産経は引用部分をカギ括弧で示している。
以下のカギ括弧の中は色の違う2箇所を除けば朝鮮日報のコラムの内容だ。

  「金室長が『私は分からない』といったのは大統領を守るためだっただろう。しかし、これは、隠すべき大統領のスケジュールがあったものと解釈されている。世間では『大統領は当日、あるところで“秘線”とともにいた』というウワサが作られた」。
  「大統領をめぐるウワサは少し前、証券街の情報誌やタブロイド版の週刊誌に登場した」
  「良識のある人」は、「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」
  「ウワサはすでに韓国のインターネットなどからは消え、読むことができない」(証券筋)
  「そんな感じで(低俗なものとして)扱われてきたウワサが、私的な席でも単なる雑談ではない“ニュース格”で扱われているのである」
  「ちょうどよく、ウワサの人物であるチョン・ユンフェ氏の離婚の事実までが確認され、ウワサはさらにドラマティックになった」
  「朴氏との緊密な関係がウワサになったのは、チョン氏ではなく、その岳父のチェ牧師の方だ」という(政界筋)見方もある。
  チョン氏が最近応じたメディアのインタビューで、「『政府が公式に私の利権に介入したこと、(朴槿恵大統領の実弟の)朴志晩(パク・チマン)氏を尾行した疑惑、(朴大統領の)秘線活動など、全てを調査しろ』と大声で叫んだ」
  「世間の人々は真偽のほどはさておき、このような状況を大統領と関連付けて考えている。過去であれば、大統領の支持勢力が烈火のごとく激怒していただろう。支持者以外も『言及する価値すらない』と見向きもしなかった。しかし、現在はそんな理性的な判断が崩れ落ちたようだ。国政運営で高い支持を維持しているのであれば、ウワサが立つこともないだろう。大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである

 そして最後に"朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ"と産経の記者の評価をのせて締めくくっている。

 みてわかるように、キーワード は”ウワサ”という記号である。朝鮮日報は間接表現、あいまい表現、比喩表現など”ウワサ”の意味を紛らわしくするベールを幾重にもかぶせたつもりだったろうが、産経は若干の補助線を引いて、あっさりとベールを剥ぎ取ったようだ。
 しかし、一体どこが虚偽だというのだろう? 公然たるウワサだったのに。
現職大統領に対する報道の自由が大きく制限されている韓国の社会風土のなかで産経は朝鮮日報の背中を押してあげたのだから感謝されてもよいはずだ。