2019年9月22日日曜日

古谷有希子 の主張は不十分である__その4


だが、数十年来日韓両国が共有してきた法解釈を韓国司法が変えたという事実も、それを韓国政府が野放しにしている状況も、日本政府にとっては受け入れがたい論理の飛躍である。

日韓基本条約の根底にある植民地支配(韓国併合)に対する法的解釈を覆す、ということは現在の日韓関係の根底を覆す、ということである。

だからこそ、日本側は韓国政府が大法院判決に対して何もしないことを、「国際法に照らしあり得ない判断」として批判しているのだ。

 

だが、韓国内では日本での受け止められ方が単純化されて伝えられ、日本は歴史問題の報復をしていると受け止められてしまっている。
韓国で日本の今回の措置が歴史問題に対する報復と受け止められるのは、韓国が歴史を非常に重視するからに他ならない。「重視」の意味が問題なのだ。歴史的過去への介入であり、一種の洗脳となっている 。韓国人は自戒するべきことがあるはずだ。

しかし、日本はされたことにせよ、したことにせよ、歴史を重く受け止めないし、記憶しない。この認識も間違っている。日本人は歴史の中に存在する「不条理」というものをみつめ、あれこれの「不条理」を包摂しうる存在として自分たち・人間の主体性というものを意識する。日本人の方がより慎重に、より正確に歴史と向き合っている。

たとえば、対米国に関しても、両国民の態度の違いは明らかだ。

韓国国民の対米感情は常に良いわけではなく、在韓米軍が問題を起こすたびに対米感情が悪化する。

そうした国民感情を受けて、韓国政府は地位協定改定のために尽力し続け、今では日米地位協定の日本よりも韓米地位協定の韓国の方が米国に対して優位にある。

一方、日本の場合、在日米軍が問題を起こしても対米感情は悪化しないし、日米地位協定は成立以来、一度も見直しが行われていない。

これが韓国であったらば、どんな理由があったとしても、自国に原爆を投下し数十万人の命を奪った米国を手放しで迎え入れ、どんな理不尽な要求でも呑むということをするとは考えにくい。

したことにせよされたことにせよ歴史を忘れていく日本人にとって、歴史の記憶のための現在の関係を毀損することもいとわない韓国の態度は、日本などどうでもいいと思っていると映る。

日本国内には根強い在日韓国人差別があるし、植民地主義的な「韓国併合は韓国の発展を助けた」という思考をする人も、特に年配層には多い。助けたのではない、自らを手本として、朝鮮社会そのものを作り替えてしまったのだ。これが根本的な問題としてある!

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